【中小企業診断士】1次試験を361時間の学習で合格する具体的方法
ここでは私の受験経験から導き出した効率的な1次試験攻略法をご紹介しますね!
中小企業診断士受験を決意された方は、まず1次試験のボリュームに圧倒されます。ただでさえ忙しい日常の中で膨大な範囲の学習を進めていくうちに心が折れてしまい、受験を断念してしまう方を何人も見てきました。
そこで、忙しいビジネスパーソンでも効率的に学習を進めていき合格圏内に入るための方法論を以前、こちらのYouTube動画でご紹介いたしました。
動画を視聴いただいた方から「もっと具体的なやり方、方法まで落とし込んで欲しい」とのご要望を頂きましたので、今回私の体験談を踏まえご紹介したいと思います。
1次試験勉強は何をどのようにどんな時間配分でやるべきか?
時間配分を間違えると、いつまでたっても試験範囲の学習が終わらないという悲惨なことになってしまいます・・・
ここでご紹介する方法論では、1次試験対策を3つのフェーズに大別しております。
・動画によるインプット(所要時間:143時間)
・過去問演習(所要時間:128時間)
・主要科目テコ入れ(所要時間:90時間)
これらについて、何を・どのように・どんな時間配分で進めていくか具体的なイメージを持っていただこうと思います。
また、「主要科目テコ入れ」のフェーズでは何をすればいいか、具体的な根拠をもとにお話ししていきますね。
動画インプットと過去問演習の具体的やり方
まずは「動画によるインプット」と「過去問演習」というアウトプットの進め方と時間配分についてイメージをおさえていきましょう!
1次試験勉強は全範囲を最低5周回す
サイクルをとにかく早く回し続けるのがキモです
中小企業診断士1次試験の範囲は膨大です。全7科目、その範囲はビジネス全般を網羅しております。標準的なテキストや問題集を積み上げていくと膝の高さくらいまであったりします。
この時点で、ただでさえ仕事に家庭に忙しい受験生は絶望的な気持ちになってしまいます。仮に覚悟を決めて学習に着手したとしても、試験範囲が膨大なため一通り試験範囲の学習を終えたころには最初に学習した内容はすっかり忘れてしまっている、という悲劇が待ち受けているんですね。
そんな悲劇を回避するためにはどうすればいいか。愚直に頭から学習を進めていっても、いつまでたっても合格ラインに達することはありません。
つまり、学習にも戦略が必要なんです。
この試験は試験範囲こそ膨大ですが、幸いマニアックな知識までは求められません。基本事項をしっかり理解していれば十分合格点に達することができます。
そこで今回ご紹介する方法論では、全範囲を素早く繰り返し(少なくとも5回)学習することで、基本事項を定着させるとともに、すでに学習した内容の忘却を防いでいきます。
学習範囲を周回するイメージはこの図をご覧ください。
インプット → 過去問演習 → 答え合わせ、の一連の流れを1クールとして、それを5周していくイメージです。
教材はスタディングを使用する
膨大な範囲を素早く回していくには、動画教材が最適です。
候補はいくつかありますが、ここでは実際に私も利用して合格した「スタディング」が最もおすすめです。
上記リンクからアクセスして、中小企業診断士講座を選びます。
「コース一覧・購入する」を選びましょう。
「中小企業診断士 1次2次合格コース」の「商品ページ・購入する」をクリックします。
「ミニマムコース」から「パーフェクトコース」まで4つのコースが存在します。
ここではついつい一番充実してそうな「パーフェクトコース」を選んでしまいがちですが最低限動画が視聴できればOKなので、一番安価な「ミニマムコース」を選択しましょう。
使うのは「1次基礎講座(ビデオ)」オンリー
一番安価な「ミニマムコース」といっても1次から2次対策までいろんなコンテンツが入っています。
ただ、ここで紹介する学習法で使用するのは「1次基礎講座(ビデオ)」だけです。各科目ごとにテキストのPDFが附属していますが、これも使用しません。動画を視聴できれば十分です。
倍速機能を活用して効率的なインプット
「スタディング」の動画講座の一番の特徴は、3倍速まで倍速をコントロールできることです。(ちなみにYouTube動画は2倍まで)
これが膨大な試験範囲を速修するのに威力を発揮します。
きめこまやかな倍速コントロールができるのもこの教材の特徴です。
わたしのオススメは、1.5倍→1.75倍→2倍→2.5倍→3倍、と回を重ねるごとに少しずつ倍速を上げていくことです。通常速では時間がかかりますので1.5倍から初めて最終的には3倍速ですばやく記憶を定着させていきましょう。
通常速での所要時間は58時間ですが、倍速を上げていくことで実所要時間を短縮していきます。このやり方で5周回した場合の累積所要時間は143時間となります。
過去問演習は土日に本番環境を意識して実施
過去問演習を行うときは、本番さながらの環境を作ります。
予定を入れず、スマホの電源も切って臨みましょう。
動画によるインプットを1クール終えるごとに過去問演習を行いましょう。
ここで重要なことは、本番と同じ曜日・時間帯・制限時間を徹底することです。土日をどちらも過去問演習日として確保しておき、土曜は9時50分から17時10分まで。日曜は9時50分から15時まで時間を測りながら過去問演習に取り組みましょう。
これを徹底することで試験慣れして、本番でも落ち着いて実力を発揮できるようになります。
問題集は何を使えばいいか
「過去問集は何を使えばいいか」というご質問を何度か頂きました。
年度別に並んでいれば何を使っても大きな違いはないのですが、できれば分かりやすく丁寧な解説がされているものがいいですね。書店に行って自分に合いそうなものを選びましょう。
もし迷った場合は、TACの「最速合格のための第一次試験過去問題集」でOKです。
過去問の答え合わせも緩急をつけて
土日を使って過去問演習を行ったら、時間をかけて答え合わせしましょう。解説をしっかり読んで間違った問題を理解し腹落ちさせていきます。
最初は慣れていないので解答時間の3倍、約25時間をかけて丁寧に理解を進めていきます。ただ、2回、3回と進めていくうちにわからない問題も段々減っていきますので、答え合わせにかける時間を17時間、13時間と少しづつ短縮していきましょう。
ここで気を付けたいのは、わからない問題にこだわりすぎるあまり、深みにはまって時間を浪費してしまうことです。ここに記載している時間を目安にサクサク進めていきましょう。解説を読んでもわからない問題は早めにあきらめて先に進むのも大事です。
周回別の学習所要時間
キツいのはせいぜい1~2周目くらいまで
それを乗り越えたらどんどん楽になってきますよ!
それでは、インプットから過去問演習、答え合わせまでの一連の流れについて周回別の所要時間を振り返りましょう。
1周目はインプットや答え合わせを丁寧に時間をかけて進めていくため約73時間かけていきます。2周目、3周目と回数を重ねるごとに1クール完了に掛かる時間が漸減していき、5周目では40時間ちょっとで終わらせることができるようになります。
やればやるほど楽になっていくわけです。これも挫折しない為の工夫の一つです。
私の体感では、3周目あたりから「これ、もしかしてイケるんじゃない?」という感じになりました。
スケジュールイメージ
ぶっちゃけ、結構きついです(汗
ここでは学習スケジュールのイメージを掴んでいただくため、2024年4月1日から学習を開始したと仮定して、下記前提条件のもとに学習計画を組んでみました。
・平日は1日3時間、休日は6時間を学習にあてる
・過去問演習は土日連続で実施する
・節目ごとに勉強休みの日を入れる(月平均3日程度)
3か月限定とはいえ、忙しい社会人にとってはかなりハードなスケジュールですよね。もちろん1日の学習時間を半分にして6か月計画で進めていくことも可能ではあります。ただ、試験範囲が膨大であるため周回に時間を掛ければかけるほど理解がぼやけてくるのも事実です。
「この試験に受かって人生を変えるんだ!」という決意のもと、3か月間何とか時間を捻出して頑張っていただきたいです。その価値はあると思います。
最初のハードな3か月を乗り越えれば、あとはかなり楽になりますよ。
それでは1か月ごとにモデルスケジュールを確認していきましょう。
1か月目(2024年4月)
4月1日から学習スタートです。最初はひたすら動画講義によるインプット。4月11日までで7科目全て視聴します。ここではもちろん理解は追いついていないでしょう。最初はそんなものだと割り切りましょう。
1日休みを挟んで13、14日の土日は本番環境を意識した過去問演習を行います。そして週明け15日から22日まで、過去問の答え合わせと解説を見ながら理解していきましょう。
ここまでで1クール終わりです。1日休みを挟んで、24日から2クール目に入っていきましょう。動画講義によるインプット2回目です。
2か月目(2024年5月)
次は5月です。5月1日には動画インプット2周目を終わらせます。そして1日休みを挟んで祝日3-4日を使って本番形式での過去問演習を行います。1日休みを挟んだ6日から10日にかけて過去問の答え合わせを行い、2クール目終了です。
こんな調子で3クール目以降も、動画インプット→過去問演習→答え合わせと進めていきます。
3か月目(2024年6月)
6月です。4周目の動画インプットが6月2日に完了しますが、次の過去問演習日の土日まで間が空きましたので3日ほど振り返りの期間を設けております。8日、9日の土日で4回目の過去問演習を行い、週明けからその答え合わせ。16日からは最終クールである5周目のインプット→過去問演習→答え合わせと進めていき、6月28日には5クール全て完了となります。
動画インプットと過去問演習:学習のポイント
ここまでスピード重視で突き進んできました。学習を進めていく中で、消化不良感や「本当にこれで理解できているのか」という不安が湧き上がってくるでしょう。ここが落とし穴です。
中小企業診断士はゼネラリスト系資格です。範囲は広いですが、司法試験や会計士試験のようなスペシャリスト系資格と違い、深くマニアックな論点までおさえておく必要はありません。各科目の基本論点を理解しておけば合格点が取れるように設計されています。
「6割取れればいいんだ」と自分に言い聞かせ、深みにはまらないように気を付けながら、何度も何度も全範囲を回して記憶を定着させていきましょう。
あと、過去問演習を行うときは可能な限り本番環境に近づけることをお勧めします。試験慣れして本番でも緊張せずに実力を発揮できるようになります。
主要科目テコ入れは何を行うべきか?
テコ入れは戦略的に!
今回ご紹介するメソッドは、主要科目テコ入れのために90時間を確保するような設計にしています。この時間をうまく有効活用できれば合格可能性の向上が期待できますよ!
テコ入れ学習のポイント
そもそも、1次試験のための基本的なインプット・アウトプットは動画視聴と過去問演習で終わらせていますので無理してテコ入れ学習する必要はありません。この90時間は学習の進捗が遅れた場合の、ある意味バッファのような位置づけです。
ただ、テコ入れすれば加点が期待できますので時間に余裕ができた方はトライしましょう!
具体的に何をやればいいかについてですが、単純に苦手科目を補強するのも一つの手ではありますが、経済学や経営システムのように1次試験でしか問われないような科目に時間を使うのは少しもったいない。最小の努力で最大の効果を発揮したいのであれば、2次試験との相乗効果も期待したいところです。
私のオススメは、「財務・会計」科目を強化することです。
理由としては、
・「財務・会計」は2次試験でも事例Ⅳとして出題されること
・学習量が得点に反映されやすいこと
の2点です。また、資格取得後にも必ず必要とされる知識ですので、少ない労力で多くの恩恵を得ることができますよ。
2次試験との相乗効果を最大にする
「財務・会計」科目のどの分野をテコ入れすべきか?ここも2次試験との相乗効果を意識していきましょう。当然2次試験でよく問われる分野を重点的に学習したほうが効率的ですね。
2次試験事例Ⅳでは出題分野に明確なパターンがあります。
・財務分析
・損益分岐点分析
・キャッシュフロー
・設備投資の経済性計算
・デリバティブ取引
これらの分野からの出題頻度が圧倒的に高いんですね。
「財務・会計」1次、2次共通の最頻出分野は?
先に挙げた5分野は2次試験だけではなく、1次試験でも再頻出分野となります。
これは過去6年分の1次試験過去問を分析して分野別の出題確率を集計したものです。出題確率が最も高いエリアに、2次試験で問われる内容が集中しています。
これらを重点的にテコ入れすることは、2次試験との相乗効果が期待できるのみならず、単純に1次試験対策としても非常に効果的です。
インプットよりアウトプット
やるべきことはただひとつ。これらの分野の1次試験過去問をひたすら解きまくることです。基礎ができていれば2次試験事例Ⅳの学習にもスムーズに入っていくことができます。
まとめ
ここまで1次試験攻略のための全手順をお話してきましたがいかがでしょうか。
何度か申し上げた通り、基本事項をしっかりと理解していれば十分合格点を取れる試験だと強く認識し深みにはまらないことが最優先です。勉強好きなビジネスパーソンにとって興味深い事項が多いため、ついつい気になって深みにはまってしまいがちです。知識を深めることは悪くないのですが、試験合格を最優先に考えると足を引っ張ることになってしまいます。
スピード感と、メリハリを意識して進めるのが何よりも重要です。
企業戦略をあつかう専門家になる試験ですので、試験対策も戦略的に進めていきましょう!