事業会社のための財務モデリング入門
中期経営計画、事業計画作成に特化したシンプルな予測財務諸表の作り方
財務モデリングという技術をご存じですか?
この技術は、主に投資銀行で市場分析や企業価値評価のために発展してきました。財務モデリングには金融や財務の専門知識が必要だと思われていることから初心者には少しハードルが高い分野です。
実際、インターネットで財務モデリングを調べると、外資系投資銀行出身の講師が高度な金融知識とExcelの技術を使って、複雑なシミュレーションモデルの作成方法を教えていることが多いですね。初めて学ぶ時には、その複雑さに驚くかもしれません。
でもご心配なく!もしM&Aのフィナンシャルアドバイザリーのような専門的な仕事をするのでなければ、普通の企業で中期経営計画や事業計画を立てる際に、高度な金融知識は必要ありません。ここでは、一般的な事業会社に向けて、シンプルで基本的な財務モデリングの技術をご紹介します。
0講_財務モデリングとは
財務モデリングとは、将来の事業計画を財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)に落とし込み、定量的な分析を行うためのツールです。
また、分析にとどまらず将来の財務三表を企業価値という形で表現することも可能です。
前者をオペレーティングモデル、後者をバリュエーションモデルといいます。
オペレーティングモデル:事業計画を財務三表の形へ変換
バリュエーションモデル:財務三表を企業価値へ変換
オペレーティングモデルとバリュエーションモデルは密接に関連しており、相補的な関係にあることが一般的です。ここでは、財務モデリングのうち、オペレーティングモデルに焦点を当て、将来の事業計画を財務三表に落とし込むことで定量的な分析ができるフレーム作りについて学んでいきます。
オペレーティングモデルをしっかり作れるようになった後、必要に応じてバリュエーションモデルの習得に進んでいくというステップバイステップ方式で進めていきましょう。
財務モデリングの5ステップ
次のステップを踏みながら計画的に作成を進めていきましょう。
財務モデリングは細かいところまで作りこもうとするほど膨大なリソースを要します。事前にある程度の粒度を決めておくことで効率よくモデリングを進めることができます
対象会社の利益やキャッシュがどのような要因で生み出されているのかをロジックツリーを使って分解・解析していきます
事業構造を把握したら、KPI(Key Performance Indicator)を設定していきます。設定したKPIを起点にモデリングを進めていきます
本格的に計算式を入れていく前にフレームを作成していきます
基本フレームを作成できたら、計算式を入力して予測P/L,B/S,C/Sをつなげていきましょう
財務モデリングは計算ミスとの戦いです。正しい手順を踏むことで正確かつ迅速に作成することができます。