事業会社のための財務モデリング入門
中期経営計画、事業計画作成に特化したシンプルな予測財務諸表の作り方
1講_作成する予測財務諸表のイメージ
まずは作成しようとする予測財務三表のイメージをざっくり固めて、利害関係者(上司やクライアント)と共有しておきましょう。
財務モデリングは細かくやりだしたらキリがありません。イメージを共有せずに進めてしまうと、作成途中で「あれも入れて」「これも必要」と際限なく膨らんでしまいます。それを防ぐために事前に成果物のボリューム感について関係者で共通認識を持っておくことをお勧めします。
ここでは簡単な財務三表のモデリングを行っていきます。エクセルの行ベースで70~100行程度のシンプルなものですが、これでもそれなりの手間がかかります。
実務ではもっと複雑かつボリューミーなモデルを作っていくことが多いです。
たとえば、売上高100億円前後の中堅メーカーで、製品別原価計算や在庫の受払計算も財務モデルに組み込んでいく場合、エクセル行ベースで5000行以上のモデルになってしまうことがあります。ここまで大規模なモデルになると高度な専門知識と大量のリソースを投入する必要がありますが、100行~200行程度のシンプルなモデルであれば、最低限の会計知識でも作成可能です。
作成する予測財務三表のイメージは上記です。
P/L、B/S、C/Sがそれぞれ連動して動きます。将来5年分の予測値を計算しますが、過去3年分の実績を取得し、その延長線上に予測値を置くことで現実感があり関係者の納得を得られやすいシミュレーションが可能となります。