【財務・会計】原価計算を得意科目にしよう~全体像編~【中小企業診断士】
それでは原価計算について学んでいきましょう!
まずは全体像を把握することが先決です!
原価計算の位置づけの確認と全体像
私の感覚では、原価計算を苦手とする受験生は非常に多いなという印象です。
その理由として
・原価計算の種類が多すぎて混乱する
・どんな局面でどのような原価計算がおこなわれているのかわからない
・そもそもなぜ原価計算を行う必要があるのか腹落ちできていない
などの理由により、苦手意識を持っている方が多いのではないかと思います。
ここでは原価計算に対する苦手意識を払拭するために、原価計算が財務・会計の中でどのような位置づけにあるのか、まずは全体像をつかんでいただきます。
そして、枝葉の細かい部分をバッサリ切り落として基本論点のみに絞って重点的に解説していきます。
まずは原価計算が財務・会計の中でどのような役割を果たしているのか把握するために、原価計算書が損益計算書や貸借対照表とどのようにつながっているのか確認していきましょう。
原価計算結果が財務諸表にどう反映されるのか
当然、原価計算の結果はB/S、P/Lなどの財務諸表へ反映されます
製造原価計算書
まず起点となるのは製造原価計算書です。
製品を作るのにいくらくらいかかったのか、つまり製造原価を計算していきます。
ここで計算された製造原価が、そのまま費用になると思っている方も多いのですが、実はそうではありません。
それぞれのボックスをつないだ図である勘定連絡図を確認していきましょう。
今月、材料費・労務費・経費を投入して300の製品を製造しました。
仕掛品前月末残
一方、工場の中には作りかけの製品である仕掛品が前月から50繰り越されてきています。
完成し製品倉庫へ入庫
そこから完成して製品倉庫に290移動されました。
仕掛品当月末残
ということは工場内には60の仕掛品が残されることとなり、翌月に繰り越されます。
貸借対照表へ計上
そして貸借対照表に仕掛品として60計上されます。
製品倉庫への受入
さて、今月290を製品倉庫で受け入れました。
製品前月末残
倉庫の中には前月から繰り越された製品が100存在しています。
製品倉庫から払出(出荷)
前月からの繰り越し100と今月受け入れた290を合わせたものから、今月280が出荷されました。
損益計算書の売上原価へ
これが損益計算書の売上原価になるわけです。
このように、製造原価がそのまま売上原価になるのではなく、在庫の影響を受けるんだということが理解いただけたでしょうか。
原価計算分野で扱う範囲
原価計算という分野では、この連絡図のうち、主に「製造原価計算書」と「仕掛品勘定」をあつかうことになります。
どのような場面で原価計算が必要となるのか
それでは、どんな場合に原価計算を行う必要があるのでしょうか。
結論からいいますと「複数の製品を作っており」かつ「在庫が存在する」場合のみ原価計算を行う必要がでてきます。
逆に言えば、仮に製造業であったとしても、単一の製品しか製造しておらず、かつ在庫も存在しないビジネスの場合は製造原価計算を行う必要はないということになります。
複数の製品を製造している場合に原価計算を行う、というのはイメージしやすいのではないかと思います。
それぞれの製品が、いくらくらいの原価でできているのかわからなければ、そもそも儲かっているのか損しているのか分かりませんからね。
それでは「在庫が存在する」場合に原価計算を行わなければならない、というのはどういうことでしょうか?
それは先ほどご説明した通り、在庫がある場合は、製造原価と売上原価が一致しないためです。
つまり、投入した原材料などの製造コストを、在庫と完成品に振り分ける作業が必要となります。
その振り分け作業を、原価計算プロセスにて行っていくことになります。
原価計算の種類
それでは原価計算にはどんな種類があるのか見ていきましょう。
原価計算は2つに大別することができます。
実際に発生したコストをもとに行う実際原価計算と、あらかじめ基準となる原価を設定しておき、それを原価計算のベースとする標準原価計算です。
そして、実際原価計算はさらに、個別受注製品のケースと、大量生産品のケースで分類していきます。
個別受注品は、個別原価計算を採用し、
大量生産品は、総合原価計算を採用します。
ということで、おさえておくべき原価計算は3つです。
・個別原価計算
・総合原価計算
・標準原価計算
この3つについて基本問題をしっかり解けるようになりましょう。
ここまでが原価計算の全体像となります。
おおよそのイメージは持っていただけたでしょうか?