G-ZYY1K7G8P5 財務モデリング入門 5講_改善施策の検討と反映 - KOUSHIMA_BizBlo

事業会社のための財務モデリング入門

中期経営計画、事業計画作成に特化したシンプルな予測財務諸表の作り方

5講_改善施策の検討と反映

予測財務諸表のフレームと計算式を入力して、それで全て終わりというわけではありません。作成したシートをもとに財務上の課題を検討していく必要があります。

将来の現金ショートに備える

B/Sの現金残をご覧ください。予測3年度にマイナスになっています。これは現金がショートしていることを意味しており、このままではこの会社は存続できません。

現金ショートの背景を探ると、予測3年度に200の設備投資を行ったために資金不足に陥ったことが判明しました。何か手を打たなければなりませんね。

そこで予測3年度に200百万の銀行借入を計画します。これが実施されれば資金ショートは回避できます。事業計画書をもって早めに銀行に相談に行きましょう。

C/Sを確認しましょう。予測3年度に投資CFがマイナスになっていますが、それをカバーする形で財務CFがプラスになっています。その結果として期末現金残は一定の水準を確保することができました。

このように予測財務諸表を作成することで将来の現金ショートを予測して、中長期の資金計画を作成するのにも役立ちます。

利益とキャッシュフローの改善

次に将来5年間の業績推移を見ていきましょう。

水色の棒グラフが売上、オレンジの折れ線グラフが営業利益、緑の折れ線グラフが営業CFです。売上は緩やかに上昇している一方で、営業利益と営業CFは右肩下がりになっていることが分かりますね。

改善するために、数値計画を見直していきます。

まずは営業利益改善を図ります。

予測値の顧客数を5%づつ増加させ、さらに売上原価率を3%づつ減少させてみた場合、収支への影響はどうなるでしょうか。

次は営業CF改善施策です。

運転資本を改善するために、売上債権回転日数を年2日づつ、棚卸資産回転日数は年3日づつ短縮していきましょう。

営業利益、営業CFともかなり改善されましたね。

もちろん数値計画だけ動かしてもただの数字遊びにしかなりませんので、具体的な改善施策に落とし込む必要はあります。

出来上がりイメージ

それでは出来上がりの予測財務諸表を確認していきましょう。

営業利益と営業CFを改善させるべく、「顧客数」「売上原価率」「売上債権回転日数」「棚卸資産回転日数」を変化させました。

予測3年度に200百万円の新規設備投資を行い、その資金として同年に200百万円を銀行から借り入れました。

予測売上は右肩上がりで推移しています。営業利益は右肩上がりとは言わないまでも、過去の実績と比較すると少し高い水準で推移しています。

貸借対照表は、貸借の一致(総資産=負債+純資産)を確認しましょう。また、現金や借入金の推移にも注意を払います。

キャッシュフロー計算書では、まず営業CFが安定的に生み出されているかを確認します。また、投資で生じたキャッシュフローのマイナスをどのようにカバーしたかを確認しましょう。ここではキャッシュの不足は借入金によってカバーされていましたね。

まとめ

ここまでが財務モデリングのうちの、オペレーティングモデルの基本となります。

この後、企業価値を算出するためのバリュエーションモデル構築に進んでいくのが一般的ですが、一般的な会社が事業計画を作成する目的であれば、このオペレーティングモデルをマスターすれば十分です。

まずはここまでしっかり自分の手で作れるようになりましょう。

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